“スギウラ君とコタニさん”
会話劇“スギウラ君とコタニさん”の台本です。
ぜひボイスブックを聴きながらお楽しみください。
アクター:北垣達弘
青年 「あー、ちくしょう、めっちゃ濡れちまった。予報じゃ降らないって言ってたのに、なんなんだよ… 」
老人 「濡れちゃったって、いいじゃない」
青年 「わっ!…だ、誰だよジイサン」
老人 「へへっ。予報外れの雨に、打たれる時だってあるさ。それもまた、いいじゃない」
青年 「だから誰なんだよ、ジイサン」
老人 「ジイサンジイサン言うけども」
青年 「あ?」
老人 「実はこう見えて、来月還暦」
青年 「マジか?80くらいに見えるぞ…」
老人 「見た目はジイサン、中身はギリギリオッサン」
青年 「いや、引用するセリフが還暦前とは思えねえよ」
老人 「ジッチャンはこの中にいる!」
青年 「違うやつになってるよ。しかも大胆に間違ってるし。ていうか、やっぱりジイサンじゃねえか」
老人 「てへぺろ」
青年 「おい、さっきから何なんだよ!そもそも俺に何の用なんだよ!」
老人 「濡れちゃったって、いいじゃない」
青年 「お、おお…話を戻しやがった…。いや、見ろよ、ほら。こんな濡れてんだぜ?どう考えたって最悪じゃんかよ」
老人 「いやいや。濡れちゃったって、いいじゃ
青年 「おおい、待て!ジイサン傘持ってんじゃねぇか」
老人 「その通り、私は全く濡れてな
青年 「傘持ってるやつが傘無くてビチョヌレのやつに『濡れちゃったって、いいじゃない』って…ナメてんのかコノヤロー」
老人 「待て待て青年よ、気持ちはわからなくもないが、少し落ち着きなさい。いいかい青年よ、人生はね、いろんな事が起こるものなんじゃ。良い事も悪い事も」
青年 「なんだよジイサン…」
老人 「良い事を良いふうに捉え、動き、さらに良くしていくのは青年自身じゃ。悪い事を良い事への前振りと捉え、動き、変えていくのも青年自身なんじゃ」
青年 「なぁジイサン、その話、長くなるか?」
老人 「あらぁ、やっぱり話を聞く気がない?すまんすまん、もう終わりにする」
青年 「あぁ、そうしてくれよ」
老人 「まぁ、あれだよ。ここで会ったのも何かの縁。青年の心に何かが響いてくれるなら、私は嬉しいのだよ。というわけで、ほれっ」
青年 「え、傘?」
老人 「私のものを使いなさい」
青年 「いや、でも、ジイサンが濡れちゃうじゃんか」
老人 「濡れちゃったって、いいじゃない」
青年 「俺もう濡れちゃってるし、大丈夫だって。ほら、なんか悪いし」
老人 「いやいや、さっき青年が悪い出来事だと思った雨を、こうして今、良い出来事に変えて終わろうじゃないか」
青年 「ジイサン…ありがとう…」
老人 「なになに、これしきのこと。最後のなるが、この御縁に、青年の名を聞いておこうかのう」
青年 「スギウラ…です」
老人 「うむ。スギウラ君。覚えた。ではまたどこがお会いできることを願っておる」
青年 「ま、待って。ジイサ…貴方の名前も」
老人 「コタニじゃ」
青年 「コタニさん…ありがとう」
老人 「見た目はジイサン、中身はギリギリオッサン、名探偵コタニ」
青年 「クソジジィ、おい」
老人 「ふふっ。スギウラ君よ、君も良い人生を送りたまへ。ではでは」
青年 「ありがとうジイサン!走ると危ないぞ、気をつけてな!…え?…何やってんの?なんでギャルに話しかけてんだよジイサン…あー!!マジかギャルと相合傘ー!?ソレやる為に俺に傘を!?チクショー、クソジジイ!…ずるい」
“スギウラ君とコタニさん”いかがでしたでしょうか。この作品は他のボイスアクターによっても音声化されておりますので、それぞれの個性を聴き比べて楽しんでいただけたら嬉しいです。
アクター:はったいこ
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