“ダイとワタル”
会話劇“ダイとワタル”の台本です。
ぜひボイスブックを聴きながらお楽しみください。
アクター:はったいこ
ワタル 「で、ダイちゃん、何?大事な話って」
ダイ 「いやいや待てよ、わかるだろ。カフェに来た。コーヒー持って席に座った。そしたらだ」
ワタル 「話す、でしょ?」
ダイ 「飲むだろ!まずは飲むだろ!アイスコーヒーではチェーン店の中でここが1番だと思うんだ、俺が言うから間違いない、口当たりの良い飲み口、そこから広がる深い香ばしさ、拘りのアイスコーヒーをどうぞぜひお楽しみください」
ワタル 「ふっ…途中から店員さんみたくなっちゃって。でも、そうだね、まずは飲もう」
ダイ 「拘りのアイスコーヒーをどうぞぜひお楽しみください」
ワタル 「(笑)…あ。ホントだ美味しい。1番かどうかわからないけど、ホントだ、すごく美味しい」
ダイ 「だろ?確かに俺も1番とか適当に言ったけど、ここのが美味しいのは確かなんだよ。
ワタル 「(笑)…あ、で、それで?何、大事な話って?」
ダイ 「お、おお…あのな…」
ワタル 「うん」
ダイ 「大事な話なんだ、今日はワタルに話しておきたい」
ワタル 「うん」
ダイ 「あのな」
ワタル 「うん」
ダイ 「えっと…」
ワタル 「何さ、ちゃんと聞くから早く言ってって」
ダイ 「すまん。あのな、俺、死ぬかもしれない」
ワタル 「え!?」
ダイ 「病院に行って、いろんな検査した。だけど、どこでも結局、原因がわからないって言われて、たらい回しだ」
ワタル 「病名がわからないの?そんな難しい病気なの?」
ダイ 「どの病院でもお手上げだ、相当難しい病気なんだと思う。辛い」
ワタル 「ダイちゃん…そんなに苦しんでいたんだね…気づいてやれなくてごめん。どんな症状なの?僕にも教えて」
ダイ 「あのな…気がつくと出てしまっているんだ」
ワタル 「出てしまっている?」
ダイ 「そう、出て…。沢山じゃないんだけど…毎日7粒ぐらいは出て…。辛い」
ワタル 「 7粒?ちょっとわからないんだけど、何が7粒出てしまっているの?」
ダイ 「タピオカ」
ワタル 「はい?」
ダイ 「だからタピオカがさ、気づくと口からポロッて出ているんだよ。毎日7粒ぐらい、勝手に出てきちゃうんだよ」
ワタル 「何それ、怖い!」
ダイ 「俺だって怖いよ、タピオカなんて全く食べてないのに、身体の中から何故か、毎日7粒ぐらい勝手に生まれてくるんだ」
ワタル 「怖いし、キモい!」
ダイ 「おい!俺が真剣に打ち明けているのに、キモいとか言うか普通!いい加減にしろよワタ…(ポロッ)」
ワタル 「あー!出た!1粒出た!(笑)すごい!(笑)キモい!(笑)」
ダイ 「お前なっ…!!(ポロッ)」
ワタル 「あーーー!(笑)マジか!汚ねぇ!2つ目のタピオカ、ダイちゃんのコーヒーの中入っちゃったよぉ!」
ダイ 「チクショー!またかよ!もう嫌だよ、こんな病気!辛いんだよ!」
ワタル 「落ち着いて(笑)喚くとまたタピオカ出ちゃうから、まずは落ち着こう。(笑)」
ダイ 「落ち着いていられるかよ!俺は辛いんだよ!」
ワタル 「いや、辛いのはわかる。でも僕、少し安心したよ。」
ダイ 「安心?」
ワタル 「うん、安心。ダイちゃん死ぬとか言うから。僕ね、ダイちゃんに死なれたら嫌だもん。タピオカが出てくるのは辛いけれど、今の症状だけなら命は多分大丈夫だし、僕は少し安心した」
ダイ 「ワタル…お前…ありがとな…」
ワタル 「ダイちゃん、泣きすぎだよ。こんな人前で泣くタイプじゃないのに」
ダイ 「だってよ、俺、嬉しくてよ」
ワタル 「うん」
ダイ 「ワタルがそんなふうに思ってくれたなんて、俺よ!嬉しくて!」
ワタル 「だから泣きすぎ(苦笑)」
ダイ 「ありがとなワタル!本当にありがとう俺、今日ワタルに話してよかったよ。ありがとうワタ…(ポロッ)」
ワタル 「あー(笑)3つ目出た(笑)汚ねぇ(笑)」
“ダイとワタル”いかがでしたでしょうか。この作品は他のボイスアクターによっても音声化されておりますので、それぞれの個性を聴き比べて楽しんでいただけたら嬉しいです。
アクター:北垣達弘
アクター:日野あらし
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