“モグさんもゆく”とは
僕がこれまで書いてきたブログです。A版(AmebaBlog)でスタートし書籍化、そのL版(LINEBLOG)、N版(note版)と渡り歩きいてきました。それらの一部は音声小説コンテンツWritoneにてエッセイてして残しておりましたが、mogumogumo.jp立ち上げと共にこちらのマガジンへ移設します。
A版
モグゆくA版 (2007.12 - 2010.12)
Ameba Blogにて投稿のブログより
本来の主役・愛犬れもんは音声化作品に登場せず
全12エピソード / 完結
ボイスブック
このエピソードはボイスアクター・ようじろうにて音声化されております。ぜひボイスブックを聴きながらエピソードをお聴きください。
★ボイスアクター:ようじろう
はじめに
いつ頃からか僕には「エッセイを書きたい」という想いが芽生えていた。そんな気持ちがあったものの、どう書いていいのかもわからず時間だけが過ぎていた。そして、ある夜、僕の身に起きた出来事。僕はその日のうちに1つのエッセイを書き上げた。
衝動に突き動かされ本能のまま書き上げた。文を書く自分が生まれた瞬間だった。それから少し月日が流れ『モグさんもゆく』が生まれた。この《ドンピシャ》は僕の原点。
ドンピシャ
2006年3月4日、今夜、某中学のグラウンドにてサッカーに参加した。月に2回の今の僕の1番気合いの入る場だ。本日は人手が少なくハーフコートでのミニゲームとなった。実は素人のまま、このチームに入れてもらい1年、いつも全面でプレーしていたのでハーフコートは初めての体験だった。
始まる前は結構緊張していたのだが、いざ笛がなって試合を開始すると、予想外に気軽にプレーできた。そりゃそうだ、急遽ミニゲームになってしまったので、気合いを入れてきた皆は、突然の変更に力が抜けてしまっていたのだから。
楽しみながらも中々チームとしてまとまったプレイが続き、そして絶好のチャンスが僕に訪れた。自分自身の力量が試される場面だ、いつもならササッとパスに逃げちゃったりするのだが、今回はちゃんと仕事をした。クルッとターン、そしてシュート。ゴール。
思い起こせば1年間、自分のゴールはこぼれ球やDFのミス、チームメイトのナイスパスなどから、パスかと見間違うかのような蚊の止まりそうなシュート…いや、さすがに蚊は止まらないが、それぐらい弱いシュート。それに比べ今回のゴールときたら…嬉しい。
喜びテンションを上げ、さらなるゴールを狙いにいった。しかし、そのテンションは長くは続かなかった。点を取った勢いで軽快な動きを続けていた僕は、相手選手が縦パスを出そうとしているところへ飛びついた。そのボールは僕の股間へと吸い込まれていった。
うぅ!違うぞ、ここはゴールじゃない、パスを受ける相手でもない、君の来るべき所ではない。しかしながら案外ボールに勢いがなかったので「久しぶりの金的か…痛いなぁ」ぐらいで余裕は、まだあった。少し我慢すれば痛みも治まると思った。
でも。おかしい、何かが違う、一秒一秒刻まれるにつれ痛みは増してきている。そしてとうとうK点越え。もう何が痛いのかわからない、それぐらい痛い、じっとしていられない。いよいよ悶絶しグラウンドの隅で横になった。横になっても痛いので立ってみたがやっぱり痛いのでまた横になった。
こんな金的初めてだ。格が違う、野球なら確実に特大ホームラン、「真芯を捕らえた!!」とアナウンサー風に言いたい。ドンピシャ、そうまさしくドンピシャ、ドンピシャだったのだ。痛い痛い。と同時にウンコがしたい。訳のわからない事を言うなと思うかもしれないが、したいというか出そうになった。出したら楽になるとさえ感じていた程だ。オシッコもしたい。したい、したい、出る。今出したら、もしかしたら血尿かもしれない。そしてとうとう意識も遠退いてきた。遠退きながらもなんとか50m先のトイレへ向かった。本当に出そうなのだ、本当にしたいのだ。
トイレに入ってズボンを下ろし、まずはムスコを確認、よかった、腫れてない。「古田になるかも」という心配は少し治まった。ウンコもオシッコも出なかった。出そうで出なかった。出したかったが出なかった。代わりに冷や汗がポタポタと出た。痛さで冷や汗がポタポタ垂れるなどという経験は初めてだった。
結構な時間、トイレで立ったりしゃがんだりして、やっと少しずつ痛みが落ち着いてきたのでトイレを出た。痛みが落ち着いてきたにはきたのだが、僕のムスコはダメージを負ったわけで、痛みがなくなりはしなかった。痛みを忘れたくて再びサッカーに集中することにした。
プレーに戻ると何人かに「大丈夫?」と声をかけてもらったが、僕は苦笑いでムスコを押さえて「大丈夫です…」と言うしかなかった。「玉?棒?どっちが痛い?」と聞かれもしたので「全部。今までの金的で一番痛かった。ドンピシャというものを初めて味わった。」と答えた。相手チームの人が「玉が腫れてないかチェックしてやるから、そこでズボンを下ろしてごらん。」と言ったが、もちろん、キッパリと断った。
その後のプレーでは、いつもより内股で歩幅の狭い僕が、時折痛みに苦笑いしながら、ちょこまかと駆け抜けた。今はただ、将来、子孫を残す時に害が出ない事を祈るばかりである。
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