“ケノノモ国王と家臣カシウナ”
はじめに
会話劇“ケノノモ国王と家臣カシウナ”の台本です。
ぜひボイスブックを聴きながらお楽しみください。
ボイスブック
アクター:圭琴子
ケノノモ国王と家臣カシウナ
「国王様!」
「どうしたのじゃカシウナ、そんなに深刻そうな顔をしおって。」
「ケノノモ王国の水の要であるタピュラ湖が赤く染まったあの謎現象から一ヶ月。タピュラ湖の水の使用を自粛させてからというもの、十分な水を確保できず農地は壊滅的、社会は混乱、仕事をすることもできず失業する者まで。このままでは国民は死んでしまいます。」
「うむ。わかった。では…すべての民にタピオカ券。」
「こ、国王様、たしかにタピオカは喜ぶ者もおりますでしょうが、しかしながら今、多くの民が今月の家賃さえ払えず困っております。」
「あ、ナタデココ券もいいかな?」
「国王様、お言葉ですが。」
「わかっておる、わかっておる。よーし、リゾート券じゃ。タピュラ湖で泳いで気分転換じゃ。」
「御冗談はおやめくださいませ!」
「冗談なわけがあるまい。ワシだってしっかりと考えておるのだ。ほれ、ワシはタピュラ湖管理委員会の名誉顧問でもあるぞ?」
「う、うぅ…それでリゾート券…。わかりました、もうワタクシはソレについて何も申しませぬ。しかし、もう1点お話が。」
「何?まだ何かあるのか?」
「タピュラ湖が赤く染まった直後に多くの国民が腹痛を訴え、水の使用を自粛させ。」
「そうじゃ、それで下痢に苦しむ国民がパンツを汚しまくりパンツ不足に陥った。しかし王であるワシの一声で業者にパンツの生産量を増やすよう命じたのじゃ。ワシのおかげで国民が救われたわけじゃな。」
「ところが、でございます。作れども作れども一部の者に買い占められてしまい、未だ国民に届けることが出来ておりません。」
「なんじゃ、その一部の者というのはそんなにもパンツを汚すのであるか!?」
「確かに“笑ったりふとした瞬間、気づくと漏れてしまっている”と言われるほどの腹痛らしいので沢山必要な者もおるとは思いますが、買い占めの多くは“漏れてしまっている者”ではなく“漏れるかもしれない不安に支配されている者”だと思われます。とにかく一部の者のもとにばかり渡り、国民が必要とする量を届けるまでには相当な時間を要してしまいます。」
「ふむふむ…ふむふむ。よしわかった。これより国民の全世帯にフンドシを2枚ずつ送る!」
「に、2枚!?パンツではなくフンドシなのはこの際目を瞑ったとして、各家庭に2枚では3人の家庭、4人の家庭など、数が足りず困ってしまうのではないでしょうか?」
「困るかもしれぬが、何にもしないより少しよりはやっている感があるじゃろう。」
「やっている感ではなく、今この危機において早急に何かを実際にやらなければなりません。ここはやはり現金を給付みてはいかがでしょうか。」
「うるさいうるさいうるさい!ええぃ、しつこいヤツめ!わかったわい。これより1世帯30ロトトを給付することとする。さぁもう行くのじゃ、国民に発表してくるのじゃ!」
「ありがたきお言葉。本当は全国民に10ロトトの給付が良いとワタクシめ、思うのですが。しかしそれも胸にしまい、早速国民に発表して参ります。」
「うむうむ頼んだぞ。よし行きたまえ。」
「ははぁ!」
「…カシウナめ、慌てて出ていきおって。…あ、そうじゃ大事なことを言い忘れておった。おーいカシウナよ!給付の条件は睫毛にマッチ棒5本以上乗る者のみじゃよ!そうでなくては給付せんぞ、そこんとこ、しっかりと頼むぞ!」
あとがき
“ケノノモ国王と家臣カシウナ”いかがでしたでしょうか。この物語はフィクションです。いいですか皆さん、フィクションですからね。フィクションとして楽しんでいただけたら幸いです。
作品の利用について
ボイスブックコンテンツWritone以外での台本使用をご希望の場合はご連絡ください。