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コーヒーと約束


 

 


 


“モグさんもゆく”とは

僕がこれまで書いてきたブログです。A版(AmebaBlog)でスタートし書籍化、そのL版(LINEBLOG)、N版(note版)と渡り歩きいてきました。それらの一部は音声小説コンテンツWritoneにてエッセイてして残しておりましたが、mogumogumo.jp立ち上げと共にこちらのマガジンへ移設します。

 

 

N版

モグゆくL版 (2019.04 - 2019.11)
noteにて投稿のブログより

 

 

作品紹介

2018年音声小説コンテンツWritoneにて投稿し音声化、その後2019年note年て文章として投稿。当時「酸味は苦手」と書いたけれd、今では自家焙煎をするようになって酸味の美味しさにも出会いました。そして2022年現在、未だオジサンを待たせてしまっています。

 

 


 

 


 

 

コーヒーと約束

 喫茶店が大好き。つまりカフェ好きなわけなのだけど、カフェというよりは“喫茶店”という雰囲気が大好き。わかるかな、この感じ。言葉を統一して“カフェ好き”を名乗るのだとしたら、つまり大手コーヒーチェーンとかではなくて個人の、1人でお店をやっているような、そんなカフェが好きなのです。

 もはや常連となってる“いつものカフェ”からネットで調べたり散歩やドライブ中に見つけてチェックした“初めましてのカフェ”、色々なカフェに週に2~3回は行って楽しんでる。カフェにいる時間が今は自分にとって1番の癒しの時間。だけども珈琲に拘りがあるかと聞かれれば、そんな事はなくて。それほど良い舌を持っているわけではない僕なので、どの店で飲んでもやっぱり美味しいし、満足しちゃうわけです。少しだけ好みを言うなら酸味の強い珈琲は苦手で、それ以外ならどれも美味しく感じちゃう。基本はブラックで飲むのだけど甘いコーヒーだって好きだし、やっぱりどんなコーヒーも美味しく感じちゃう。とにかく珈琲が大好きなのです。

 

 そんなふうに語っておきながら、缶コーヒーの話なんだけども。今からもう18年も前の、甘い甘い缶コーヒーの話。

 18年前、その頃東京に住んでいた僕は友人と夜な夜なシャターの降りた某施設の前でストリートライブをやっていて。人なんて全然通らない、歌って満足の、そんなギター弾き語り。あの年は雪もかなり降ったりと本当に寒い年だったからね、ギターを弾く手も冷えきって大変だったんだよね。

 それである時、いつものように寒さに耐えながらギターを弾いていた僕らに話かけてきたのはホームレスのオジサン。オジサンは気さくな人柄で。話してみてわかった事は僕と友人、そしてホームレスのオジサン、みんな静岡出身という事。東京の街で偶然会った人が同じ県出身だったりしたら、それはもちろん親近感ですぐに打ち解けちゃう。静岡出身という事以外、何を話したのか今となっては覚えてないけれど、楽しかったという事は覚えている。

 

 しばらく話しこんだ後、オジサンは
「お前たち、まだここにいるだろ?待ってろ缶コーヒー買ってきてやる」
さらにオジサンは
「何本飲みたい?買えるだけ買ってやるぞ」
普通に考えてホームレスのオジサンに何本も買わせるわけにはいかない、ましてや親の仕送りを貰いバイトもしている若者2人、ここでコーヒーを買ってあげるべきなのは僕らの方なんじゃないのか。いろいろ動揺しつつ
「1本で!1本で大丈夫です!」
笑顔で叫んでみた。待ってろよとオジサンは言い残して走って行き。戻ってきたオジサンは本当に僕らに缶コーヒーを買ってきてくれて。そして飲んだあの時の缶コーヒーはとにかく冷えきった身体に染みて、ただただ温かかった。美味しかった。オジサンも僕らもずっと笑顔で話しながら飲んだ缶コーヒー。

 

 今でも忘れないあの時の缶コーヒーの温かさとあの時の約束。
「お前たちが有名になったら東京のホームレスたちの為に何かしてくれ」
そう言って笑ったオジサンとの約束。ごめん、あれからもう18年も経っているのに実現出来ていないや。その約束、もう少し先の未来まで、そうもう少しでいいので。うん、もう少しだけ気長に待っていてほしい。と、誤魔化してみたりして。

 

 

 

 

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