作品情報
ジャンル:童話
あらすじ
公園のベンチに置かれた手紙を僕は見つけた。その手紙を読んでみたらね、すごいんだ、送り主は魔法使いだったんだ。そして魔法使いラソラ・ムワサは僕に__
ホントなのか誰かのイタズラなのか、それはわからない。でもこれは僕も魔法使いになれる、秘密の手紙。
親愛なるキミへ
やぁ、この手紙を拾ってくれたキミよ、はじめまして。キミの今いるこの公園はとても素敵なところだね。とくにこのベンチがすごく気にいった。だからボクはこのベンチに手紙を置く事にしたんだ。
ボクはキミの住む街から、遠く遠く離れた…とある街に住む高校生ラソラ・ムワサ。ボクの住む街には綺麗な海がある。港から始まる一本道は坂道になっていて、緩やかに孤を描きながらその一本道は丘の上へと続く。丘の上では、透き通るような空の青とそこにふわりと浮かぶ雲の白、綺麗で穏やかな海の少し濃い青、それらすべてが一望できるベンチがあり、ボクはそのベンチに座り、手紙を書いたんだ。
キミは驚くと思うけれど、この手紙はキミのために書いた手紙。他の誰かじゃない、そうキミのために書いたんだ。
さぁ、親愛なるキミに、ボクの秘密を教えてあげよう。ボクは普通の高校生じゃない。実はねボクは魔法使いなんだ。だからボクは今、こうやって、遠くの街に住むキミに手紙を届ける事ができたんだ。
どんなふうにこの手紙を届けたのかって?
そんなの魔法使いのボクには簡単さ。いいかい、まずはキミの事をいっぱい考えながら手紙を書く。そして想いをこめながら封筒に入れる。封筒を綺麗に閉じたら手のひらに乗せ、魔法の呪文を言うんだ。
そうすると…フワッと。掌にあった封筒が宙に舞う。それからフワッフワッと舞い上がっていく。魔法がかかった封筒は鳥のようさ。
おっと、ダメダメ。魔法の呪文はそう簡単に教えちゃいけない決まりなんだ。だから手紙を飛ばす魔法の呪文は教えてあげられないけれど。
でも今日は特別に。親愛なるキミだけに1つ、特別な呪文を教えてあげよう。
- ルキデモデンナ、ルキデモデンナ -
いいかいキミよ、キミにもあるだろう、初めての何かに挑戦する時に失敗を恐れてしまうことが。
そんな時、この魔法を使うんだ。そうすれば大丈夫、キミはきっと必ずできる。なんでもできる。
- ルキデモデンナ、ルキデモデンナ -
いいかいキミよ、この魔法の呪文は絶対忘れちゃダメだからね。いつでも心にしまっていて、いつかキミに何か困ったことがあったなら、その時は魔法の呪文を唱えてみるんだ。
魔法の呪文を唱えてみれば、きっと大丈夫、キミはもうできる。なんでもできる。そりゃぁ最初は失敗もしちゃうかもしれないけれど、失敗なんてヘッチャラさ。必ずキミはできるようになる。なんでもできるようになるから。大丈夫。
だから、いいかいキミよ、この魔法の呪文は絶対に、キミとボクだけの秘密のまま、ずっと忘れず胸の中に秘めておくのだよ。
- ルキデモデンナ、ルキデモデンナ -
キミがこの魔法の呪文を唱える時には、ボクはなんでもできるようになるキミの姿を、遠い遠い街から魔法を使って見守らせてもらうよ。
手紙を読んでくれてありがとう。
丘の上のベンチから、素敵な公園のベンチの
親愛なるキミへ想いを込めて。
魔法使いラソラ・ムワサより
《魔法使いラソラ・ムワサの秘密の手紙》お楽しみいただけましたでしょうか。この作品は魔法使いラソラ・ムワサ名乗る高校生の沢村空(サワムラソラ)君のイタズラです。イタズラなんだけど、でもそのイタズラが誰かの力になるかもしれないっていう…そう想いも実は少しだけ入っていたりするイタズラです。そして、そのイタズラは、この童話を読んでくれ誰かにも届いてくれていたらいいなぁ、と作者的には一番思っていたりして。ちなみに澤村空君、僕の他の作品にも登場しています。童話も小説もごちゃまぜでキャラクターや地名などが登場しているので、ぜひそれも楽しんでもらいたいなと思います。
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